施設で働く介護士は命の危険を感じたときにどこまでやるべきか

「どこまでやればいいの?」サムネイル画像

先日Twitterで「震災や火災などで逃げ遅れそうなときには利用者を置いて逃げてよいのか」といった意見を目にしました。

先月にも勤務先の入居者の方と東日本大震災の話題になり、関東にも大きな地震が来るって言われてるよね〜怖いね〜なんてお話をしました。

現在自宅の防災グッズの見直しを行っていることもあり、災害時などにおける介護士としての役割について考えてみました。

介護士はレスキュー隊ではないので、特別な人命救助のスキルは持ち合わせていません。(元・レスキュー隊ですという介護士は除く)
いざ、自分の命も危ないような状況に陥ったとき、利用者のためにどこまですればよいのでしょうか。

Sponsored Link

前提

この問題について考える上で、最低限の措置は行う前提とします。

最低限の措置とは、

  • 退路の確認や備品の準備などの事前の備え
  • 避難指示・高齢者避難開始が発表された場合の避難誘導開始
  • 緊急災害時の利用者への声かけ
  • 事件発生時の通報

などを指します。

これらを行った上で、それでも自分と利用者の命が危険な状況になった場合について考えていきます。

災害発生時の問題点

台風が近づいている、などの場合は事前に天気予報からもわかるので、早めに避難を開始することができると思います。
しかし、地震や火事などの場合は事前に発生を知ることが難しいので、早めに避難を開始することができません。

介護が必要な人は、程度の差はあれど何かしら人の手を必要としているので、自分で判断して1人で逃げるということができない方も多くいらっしゃいます。

高齢者施設の場合だと、ご自分の足で歩けず車椅子を使用している方やベッドに寝たきりの方、認知症の症状があり危機を認識できない方は、介護士の援助がなければ逃げることができません。

緊急に避難しなければならなくなったとき、以下の問題が挙げられます。

利用者の人数が多い

1つは人数の問題です。

どこの施設でも、職員の人数より利用者の人数の方が多いはずです。

施設によっても多少異なりますが、日勤帯の介護士が多い時間帯であれば、介護士1人あたり利用者約3人の援助をしなければなりません。

(事務職員の手も借りればもう少しラクになるかもしれません。)

介護施設はシフト制勤務であることがほとんどなので、日勤者がいない朝・夜はもっと介護士の人数が少ない可能性もあります。

また、夜勤の場合はさらに職員の数が少なくなります。

私がこれまで働いた施設では、2人で40〜50人の対応をする、もしくは、各フロアごとに職員がそれぞれ配置されている施設では、夜勤1人で1フロアの対応をする、という配置が多かったです。

緊急時だからといって高齢者が突然すばやく動けるようになるわけではないので、急ぎ避難しなければならない状況で利用者全員を避難させるには、職員の人数が足りていない気がします。

自分の夜勤中に災害が起きたら・・・と思うと、ゾッとします・・・。

階段を降りられない

もう1つの問題は、2階以上のフロアに入居している利用者に限る話ですが、1階まで降りられない人がいるということです。

エレベーターは地震発生時などは安全のため止められてしまうので階段で避難することになりますが、車椅子を利用している方の階段移動は非常に困難なものです。

介護士最低2人以上で対応しなければいけませんし、リクライニング車椅子の場合はさらに難しいでしょう。(というよりリクライニング車椅子の階段移動は無理な気が・・・。)

階段を降りられる車椅子というものも存在するようですが、私は一度も見たことがありません。

ほとんど普及していないものなのではないかと思います。

事件が起きたとき

思い出したくもありませんが、施設に不審者が侵入するという事件も、残念ながら考えられない話ではありません。

セキュリティー会社に異常を知らせる警報を鳴らしたところで数秒で駆けつけてくれるわけではありませんし、万が一、刃物や銃器を持った不審者が施設に侵入して目の前に現れたとき、どうすればよいのでしょう。

結論

結論というか、私の正直な気持ちとしては、「すぐさま逃げたい・・・」の一言です。

が、何もせずに真っ先に逃げたとして、絶対にあとで罪悪感に苛まれることになるだろうとわかりきっているので、悩ましいところ・・・。

災害の場合は、時間の許す限り、1人でも多くの利用者を誘導するくらいはできるかなと思います。

優先順位をつけるのは心苦しいのですが、「1人でも多く」となると、危機を自覚し自分の足で歩ける方から連れ出すことになるのかな・・・。(ごめんなさい・・・)

事件が起きた場合は、自分の安全優先でよいのではないかと思っています。

可能な限り利用者の安全を確保することは必要だと思いますが、自分の命を投げ打って利用者を守る、ということは、しなくていいなか・・・と。

(というか私にはできない・・・)

対応マニュアルは確認必須!

派遣で何箇所かの施設を経験して思うことは、

利用者の事故など救急対応が必要なときのマニュアルと比べて

災害時などの対応マニュアルが職員間で周知されていないことが多いな、と。

「災害時の避難先はどこですか?」

と聞くと、

「どこだろう???」

なんてことも^^;

いざというときに混乱しないように、各自緊急時の対応を確認しておいた方がいいよな、と思います。

Sponsored Link